Date: Fri, 1 Apr 2011 09:48:54 +0900 From: YOKOYAMA M Hiromi <yokoyama@sp.s.u-tokyo.ac.jp> Subject: [scsj:00025] 新年度のご挨拶(科学コミュニケーション研究会) Sender: hiromi.yokoyama@gmail.com To: member@scicomsociety.jp Cc: scicomsociety-adm@googlegroups.com Message-Id: <AANLkTin=bAZKgd3djTiNadTw0nnPu3MB=iyC2uXfMHTY@mail.gmail.com> X-Mail-Count: 00025科学コミュニケーション研究会メンバーの皆さま, 東大の横山です.新年度になりましたね.いかがお過ごしでしょうか. 東北大の久利さまはじめ,被災地の皆さまはまだまだ,大変な状況であると拝察いたします. 先日,東北大の長神さんが投稿されたブログ「断絶を包み込めるのか」が話題になりました. 反響が大きくてすぐに取り下げられたようですが,被災地に向けて何かをしたいと思う焦りをもつ 被災地以外の人間(たとえば私)と,被災地の方々との間に大きな気持ちの断絶のあるというもので, 色々考えさせられました. 一部で,震災に対して”動いていない”科学コミュニケーターへの批判も出ています. そう言いたくなる気持ちもわかり,真摯に考えなければならないこともありますが,私は的外れな批判 だと感じています.おそらく皆さん,それぞれの場で,ご自身のできることを精一杯されているのだと 思います.それが原発の説明をする等々の,直接的な活動のみに矮小化されて批判される必要は ないと思います. twitterで東大化学の竹沢さんも指摘されていましたが,貢献したいという気持ちはわかるけど, あせらないで,だけどなんといわれても私たちなりの科学コミュニケーションを続けていこうという メッセージはとてもしっくりきました. 今年度は科学コミュニケーションに関わるものとして,今できることと,今しなければいけないことを よく考えて進んでいきたいと思っています.今現在は,科学コミュニケーションというと,原子炉や 震災についてわかりやすく説明することだけに集約されがちです. もちろんそうした活動をされている早稲田の田中さんのサイエンスメディアセンターの活躍は 素晴らしいものがあると思っています.一方でたとえば私のように,普段は基礎科学の楽しさや 重要性について中高生や大学生にコミュニケーションを行っているものや,こどもたちに星空の 話をされる皆さんは,日本復興の道筋を立てるにあたって,その力を発揮していただく場面が 山のようにあると期待しています. 私自身についていえば,私にとっての震災後の科学コミュニケーションの実践は, 原発や津波の説明をすることではなく,震災後の基礎科学を,停滞させずに推進していくための 道筋作りだと思っています.特に莫大な電力と予算を使う加速器科学等の大型科学の将来を 心配しています.色々策を練ってはいますが,組織の壁に阻まれてうまくいっていないことも あります.あきらめずにがんばっていきたいと思っています. このMLはまだできたばかりで,どのような方々が入っているかわからず,発言がしにくいかも しれませんが,それぞれに近況をご報告していただければうれしく思います. 科学コミュニケーション研究会も4月の研究会は延期させていただきましたが(夏前に開催したいと 考えています),今年度はますます活発に進めていきたいと思っています. 今年度もどうぞよろしくお願いいたします. -- 横山 広美 YOKOYAMA M Hiromi 博士(理学) 東京大学大学院理学系研究科 広報・科学コミュニケーション 准教授 〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学大学院理学系研究科 TEL:03-5841-8856 携帯:090-4912-7041 http://sc.sp.s.u-tokyo.ac.jp/yokoyama/25_2.html (attatchment)(tag is disabled)